作品制作のための「詩」のようなものを
思いつくままに

2008年のテーマは「接点」



「扉のむこう 1891」
Moulin Rouge
扉をあけると
そこはセピアに染まる
ダンスホールの賑わいが
身体を包み込み ホールの中央では
ドレスを翻し 女がまわる
赤いRougeが どこか哀しげ
踊り娘 Marie




「みどりの唐草に金のカフカフ」
昔 昔
お正月になると太鼓や鐘を鳴らして
お獅子がやってきた
「次はあたしん家!」
と胸をドキドキ高鳴らせ・・・
母がお獅子の口にご祝儀を入れた
金色の四角い顔は
カフカフ音をたてながら
子供たちの頭を噛んでいく
ちょっと こわくて
ちょっと嬉しい カフカフ




「雛まつり」
雪が溶け 草が芽生え 花が咲く
蓬の緑は 健康を祈って
桃の紅は おまじない
雪の白は
けがれを知らない まっさらな心
しあわせ 祈る
春の日です




「喜 いのちの継承」
「いま ここにいることがいちばんのよろこび」
喜寿を迎えた母の笑顔は
そんなふうに
語っているようでした




「報国寺」
風に揺られ笹の葉の擦れ合う音が心地よい
まっすぐ天にのびた
竹と竹がぶつかり合う
コクリ ククリ ククリ
と空に響く




「早春歓喜」
純白の苞は
澄んだ水の中で
可憐な少女の如く
密やかに
佇んでいる
水芭蕉群生




「朧夜にDANCE DANCE」
DANCE DANCE DANCE
風に誘われ舞う
花びら数多(あまた)




「潦(にわたずみ)」
いくつもの紫陽花が
雨に濡れ
雨に揺れ
小首を傾げて 潦に姿を映す
花びらから
雫が 潦に かすかに
波紋をつくる




「やなか珈琲店」
駅のすぐ側に
やなか珈琲店はあります
豆を挽く
豊かな香りに誘われて
エクセレントブレンド ロースト8 グラインド7
豆はブラジル タンザニア
イエメンから




「宙に抱かれて」
星の煌めく宙は
優しく
深く
海を包み
滑らかな時が
静かに流れている




「月の光に照らされて」
綺羅星映す
藍を重ねた海は
スパンコールを散りばめたドレスを纏っている




「雪無限」
雪無限
真綿のような雪が
時を忘れ
降る 降る 降る ふる ふる ふる