作品制作のための「詩」のようなものを
思いつくままに

2014年のテーマは「廂 ひさし」




「マロニエの廂」
新緑 マロニエ街路樹の廂に覆われて
紅色 円錐の花を咲かせる
ゆったりと枝を広げた樹は
雨をよけ風をよけ厳しい陽射しから守る
時を重ね 真っ直ぐに伸びた美しい樹
秋にはまるい実を結ぶ




「あしおと」
浅い春の訪れが音を連れてやってくる
柔らかな土を押し上げるかすかな音
草木が芽を出し伸びていく音
空から枝を揺らす暖かな風
地上はまもなく生命の輝きに満ちてくる




「君と語ろう」
今宵 星屑廂の下で君と語ろう




「星曼荼羅」
揺蕩ウ夜ノ真ン中デ
刻ハ光ヲ増シテ……饒舌




「みちるときまで」
巡る月めぐる
めぐることは夢みること
めぐることは見守ること




「自問自答」
自問自答を繰り返し
遣る瀬無さが募るばかり
力ない笑いがこみ上げる
飛べない哀しみ




「遥か天空のまち」
列車の軋む音を山々に響かせながら
高野号は
高野下 下古沢 上古沢と
紀伊細川 紀伊神谷
そして極楽橋から
遥か天空のまち高野へ